「神の国はからし種に似ている」   04.03.07
                     ルカ13:18〜21

 「神の国」というのは、地上の生活を終えた者に永遠の命が与えられる、死の
後の世界だけを指すのではありません。「神の国」は、神が王として支配して
おられるところです。
 神の働きかけを受け、神に導かれるという意味で、私たちもすでに神の国に
入れられています。人の罪や弱さがありますから、完全とは言えず、まだおぼろで
しかないかもしれません。
 しかし、今、すでにそこに入れられているからこそ、神の御手に支えられ、
強められ、導かれて生きているのです。

 神の働きかけは、私たちにとって小さく見えるかもしれません。
しかし、それは自分が想像しているよりもずっと大きいのです。主イエスが、
からし種とパン種を神の国に似ているとおっしゃるのは、自分の想像を越えた
神の働きかけの大きさに気付き、そこに信頼することを願っておられるからです。

 「パン種は3サトンの粉を膨らませる」とおっしゃいます。3サトンは、通常の粉の
量ではなく、大変な量です。つまり、通常ではない大変なことが目の前にあるのです。
しかし、そこにもパン種は影響を与えます。私たちも、目の前に大きな課題が置かれ
戸惑うことがあります。仕事、家庭、社会、あるいは自分自身の身体的なことや
性格など圧倒されそうな現実に直面します。
しかし、そこにも神さまの働きかけがあり、そこでも導かれるのです。弱さの中で
行き詰まりそうになる私たちに、勇気と希望を与える主のたとえです。

 小さなからし種は、大きな木を生み出します。神の働きかけも、大きな結果を
生み出すのです。しかもそれは、「空の鳥が巣を作る」ことへと展開します。
それは、庭の持ち主が予想していなかったことです。空の鳥は、他者のことです。

 神の導きは、私たちが庭に鳥を迎えるように、私たちの持ち物や賜物を
用いて、私たちが他者を迎え、生かすことを可能にします。

 種を蒔くのも、パン種を混ぜるのも、種の働きを信じるからです。
私たちは、神の御手を信じ、大きなことが生み出される期待をして歩む者です。